据え付け赤道儀(中央光学HG−25)がやってきた
(据え付け赤道儀を買うはめになってしまったお話です)
アストロクラブ会員 横山郁弘
私が星に興味をもったのは
6、7年ほど前のことです。 それまでは北斗七星とカシオペア座しか知りませんでしたしたし、夜空を見上げることもありませんでした。ハレ−彗星が来たのも知りませんでした。 ましてや普通の望遠鏡ではあのような写真は写せないのだろうと思っていました。そんな私が
このようになってしまったのは、友人(G氏)が
カメラレンズで写したM42を見てからでした。 早速 仙養ヶ原でM42を眼視ガイドで撮りました。20分露出で2コマほど撮ったでしょうか、ガイドはわずかに流れていましたが自分としては大満足でした。しかし疲れました、土曜日とはいえ17時まで仕事をして 家へ帰って準備をして仙養へ上がり眼視ガイドで朝まで撮影するとなると、これはもう修行以外の何ものでもないと思うようになりました。 そこですぐオ−トガイダ−(ST−4)を導入しました、しかし それからの撮影は失敗の連続でした、なぜうまくいかないのか 原因がはっきりしないまま数ヶ月がたつ頃冷却CCDカメラの導入を考えるようになっていました。その理由としては まず 私は休日が日曜日しかありません、祭日+週休2日+有給の一般の人から比べるとかなり出動率が低い。 |
それに天気と月の条件を重ね合わせると年に数回の撮影行きとなってしまう。まあ一番の理由は根っからの不精者ということでしょうか、毎回の器材の組み立て、終わってからの撤収がわずらわしく思えていました。自宅に観測所を造りそこでCCD撮影をする形を考えるようになりました。
観測所はFRP(ガラス繊維でできたクロスに樹脂を含侵させて成形した製品)で2.7メ−トルド−ムを2年がかりで製作し、その間に仙養の観測所の製作にも関わらさせていただきました。 冷却CCDを購入するにあたっても随分迷いました。 大きいことは良い事だということでST−8を購入し、MT−200+NJPという組み合わせでスタ−ト。当初
ST−8のセルフガイド(ST−8にはCCDチップが2つ組み込まれてあり
一つが撮像用チップもう一つがガイド用チップ)がうまく使えず、ガイド鏡を同架してST-8でガイドしていました。 |
左がムト-のCV-04、右がST-8(ABG付) |
府中インターネットで紹介された自作ドーム |
どうしてもガイドずれが見えてしまいます、しかしフィルムと違いすぐ結果が出るのでガイドミスを検証したり
写野に対象が入っていないのに露光を続けるということはなくなりました。
システム全体がイマイチぴっとしていませんが写りはまずまず。撮像した画像(ノイズだらけのなかに微かに天体が見える)からダ−クノイズ(CCDチップに光が当たらない状態で撮像と同じ時間露光した画像)を引く瞬間は感動ものです。 そうこうしているうちに望遠鏡が大きければもっとよく写るのではと思うようになりました。 CCDでの直焦点撮影ということで高精度鏡は期待しませんでした(精度は良いに越した事はないのですが)いろいろ情報を集めた上でカサイ・トレ−ディングのNINJA320の光学系を使うことにしました、鏡筒はNTKにお願いしました、こうして安価で軽い鏡筒が出来ました。20センチF6から30センチF4.8となりました。 |
セルフガイドも再挑戦してできるようになりました、しかし ガイドがいまいち安定しません、いちばんの原因は(赤道儀の剛性不足のようでした (NJPに30センチは反則)。後に気が付いたことですがウォ−ムネジとウォ−ムホイ−ルは直交する2軸の回転を減速を大きくともなって伝える時の方法ですが、ウォ−ムネジ(モ−タ−側)が回転する時ウォ−ムホイ−ルの回転軸(赤緯軸)にスラスト荷重(軸方向の力)が働きます。 これが構造上赤緯軸をまげる力に変わっているようです、実際には望遠鏡の向きによって赤緯方向の動きになったり赤経方向の動きになったりその両成分を含んだ余分な動きが発生しているようです。 このことは実際星を高倍率で視野にいれて赤緯軸をガイド修正速度で正転逆転したときの星の動きで確認することができました。 |
場所によっては赤緯を北に動かす指示を出すとバックラッシュがとれた瞬間ピクリと赤経方向の西に動きそして赤緯方向の動きがはじまり、こんどは赤緯軸を南に動かす指示をだすと赤経方向の東に動いた後赤緯軸が南に動き出すという具合です、この場合星は小さな四角い軌跡を描いています、ガイド撮影した結果は おそらく星像が肥大したものになっていることでしょう。こうなるとあとは赤道儀のグレ−ドアップです ペンタックスのMS−5 100パ−セント据え付けで使うので移動を意識した機種は省きました、 |
本来なら現物を見て決めたいたいところですが
この世に神の存在することを信じて 観測室はプレハブの屋根の上にあるので一人では赤道儀を持って上がれないのですが、 とりあえず家に持って帰っておこうと思っていました。家に帰ると軽いやつだけでも上に上げておこうと思いました、ひとつ、ふたつとあげているうちに全部上げておこうかと思っていました、しかし極軸体は重い! しかも階段を上がって行こうというのだからすごい、このときばかりは息がきれました、階段の途中で酸欠になってしまいました、アキレス腱も切れそうでした。 組み立ては後日 友人の助けを借りて無事完了しました。 ところがST−4をつないでキャリブレ−ションをしようとするとモ−タ−が動く瞬間、赤道儀からコ−ンという音がするのです、赤道儀のメ−カ−へ相談したところ 説明はこうでした。モ−タ−駆動回路のオン.オフをリレ−がやっていますが、機械式接点の場合オン.オフの瞬間にノイズが出ます、それをモ−タ−が駆動パルス(設定した駆動パルスよりはるかに速い)と間違えて動いているかも。 |
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そこでST−4を送って調べてもらいました。やはり想像は当たっていました、そこで今回の現象をキャンセルする回路を赤道儀側に追加していただきました。HG−25は高速は500倍速ですが 自動導入は使わず、あえて導入支援という形をとっています。しかし、どうだかっこいいだろうと高速駆動のデモンストレ−ションをしたくなるときもあります。
実際それをやった時 ある程度回転があがったところで グァ−ンという音がしながら極軸の回転が止まってしまいました。 メ−カ−に尋ねたところ熱膨張によってギア−のかみ合わせが出荷当時よりもきつくなってモ−タ−が脱調しているのでは? ということでした、調べてみるとやはりおそろしく固くなっていました。ウォ−ムホイ−ルの直径が30センチもあると温度変化にかなり敏感になるようです。夏と冬とではギア−のかみ合わせを変える必要がありそうです。 さて 現在30センチニュ−トンの傍らにイプシロン160を同架して対象によって使いわけるようにしていますが なにしろオ−トガイダ−もさることながら銀鉛による撮影に対しても全くノウハウがないまま冷却CCDに走ったものですから、基本的なところでいろいろ問題に遭遇しました。 本文中に私の誤解によるまちがった表現があるかもしれません、何か御気付きの点がございましたら当ホ−ムペ−ジの掲示板へでも書き込んでいただけるとありがたいです。 |