10cmドブソニアン製作日記

                                高田 敏行

 自分で望遠鏡を組み立てて、星たちを眺める・・・。これは、僕も興味があり、小学生

のころトイレットペーパーの芯(厚めのボール紙)と虫眼鏡のレンズを組み合わせて遠く

の景色を眺めていた記憶があります。そこで、試しに反射望遠鏡でも作ってみようかな、

と思い立ち、鏡径114mm・焦点距離502mmの反射鏡と短径25mmの斜鏡を購入

しました。この製作過程を日記風にまとめてみました。ご覧ください。

 

2001年4月22日

 注文していた「コルキット・KT−10cm」が届いたので、鏡様をチェック!

主鏡・・・異常なし。斜鏡・・・異常な・・。(キズがついている。)

むむう、やはり安価なもので妥協したのがまずかったのかな。

 でもキズは、よほどひどくなければコントラスト低下はほとんどないですよね?

 

5月3日

 鏡筒の各パーツ位置決めが終了。この日のために用意した60cmものさしが、ちょっ

と活躍。パーツの位置は、マニュアル通りです。

 

 

 

 

 

 

 

 


        7.5cm

 

         12cm           33.5cm

 

   10cmドブソニアン製作日記その2

5月6日     

ゴールデンウィークもあと今日のみ!といっても2日以上の休みはなかったけどさ。(し

くしく。)

 鏡筒にキリで穴をあけるだけで2時間もかかりました。このことを友人に話したら「電

動ドリルを使えばいいんだよ。」と言っていたので、さっそくホームセンターにドリルを

買いに行きました。残りの穴あけがおもしろいように進む。こんな便利なものがあるとは。

 なんだか、浦島太郎状態です。

 そして、塗装工程に進む。鏡筒内側は、つや消しブラックで塗り、鏡筒外側

はサーフェイサーで下地を塗り、その上にパール・ホワイト、クリヤーで仕上げましたが

ちょっとまだらです。しかし、夜露がしのげれば十分なのでこれでO.Kです。

 

5月8日

仮組み立てをします。セルの中に主鏡を入れ、ねじをドライバーで締めるのですが、堅

くて締めにくい。手がすべって主鏡を直撃したらどうしようと思いながら、どうにか終了。

 斜鏡は、専用のセルに入れます。これは難なくできました。

 鏡筒に主鏡セル、斜鏡金具をセットし、あらかじめセットした接眼部からのぞくと、光

軸が見事にずれている。説明書を見ながら光軸を合わせようとするが、主鏡全体が見えな

い。どうやら、斜鏡が小さすぎるか、斜鏡と主鏡の位置が近すぎるようです。

 最初は不思議に思わず、適当に夜空を流していたのですが、どうにも気になる。

 もう一回説明書を見てこれで間違いないか確かめようと思います。

 

5月12日

 しげしげと説明書を眺めていて気がつきました。

 「このキットの接眼部は、市販品を流用しているために、筒外焦点の都合上、主鏡の直

径を有効活用しておりませんので、ご了承ください。なお、主鏡の鏡径をフルに活用した

い方は、接眼部を自作するなどし、斜鏡の位置を変えていただくと主鏡の鏡径を有効に活

用できます。」

(!)・・・・。ガーン。それならそうといってくれれば。(普通は作る前に気づくよ・・。)

かくして、振り出しに戻ってしまいました。くやしいので、星像の焦点外像から出した

主鏡の有効径は、28mm(斜鏡セルの枠の大きさ)×3=84mm(おおよそ)

 集光力が、114mmだと、265倍、84mmだと、144倍。

 なんと、約1.84倍も違います。これはいかん。作り直しを決意し、横山さんの親切かつ

有難いアドバイスにより、次回は図面を書いてみることにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   10cmドブソニアン製作日記その3

5月13日

 図面を書く。主鏡の焦点位置に向かって主鏡の端から線を引き、斜鏡がうまく光をキャ

ッチできるところを探すと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 


       1.5cm

 

       6cm           39.5cm

 

 斜鏡と接眼部を6cm前進させるといいことがわかりました。早速、工作開始。

接眼部は、筒外焦点の関係上ラック・ピニオン式をあきらめ、31.7o差込式アダプター

で代用することとし、そのための穴を加工しました。この穴は大きすぎるとアダプターが

固定できなくなるため、少しづつ削ってはあてがってみる、の繰り返しです。

すべて組み終え、光軸調整をしようと思ったとき、主鏡全体が見えてちょっと感動しま

した。セットに付属していたK12.5oをつけて景色を見ると、前よりかなり明るいのが実

感できます。

「やはり、これでなくっちゃ!」

 一人で感動しました。しかし、主鏡の端まで使うと、なんだか光軸の狂いに敏感になっ

たようで、少しでもずれていると像が崩れます。まあ、低倍率で使うので(50倍くらいま

で!)いいかな、と思っています。

最後に費用がどのくらいかかったかを見てみます。

    コルキット・KT−10cm  9800

    電動ドリル         4980

    木工ボンド          200

    31.7mm接眼アダプター   1500

    塗料(缶スプレー×3)   1500

    架台            3800

    小計            21780

                   

                                     

実物の写真です。

口径       114mm

焦点距離     502mm

F値       4.4

接眼レンズ    K12.5mm

倍率       40×