ULTIMA-11 松本和久

横山さんからの情報で、岡山県総社市の高杉さんから2003年の大晦日の日にセレストロンの11インチ望遠鏡
ULTIMA 11 を譲り受けました。
体力的に大きな望遠鏡が扱えなくなったので有効に使ってくれる人に譲りたいと言う事でした。

高杉さんは中学生の頃から高梁高校の天文部員に混じって天体観測をしておられたそうです。
倉敷天文台の本田さんのところにも出入しておられたそうで、自宅から自転車で倉敷まで行き、一晩中観測した後、
また自転車で自宅まで帰ってきていたそうです。行きは下りだから楽だったけれども、帰りは高梁川を上るので、
徹夜明けでふらふらになりながら自転車をこいだそうです。

星野次郎さんとも懇意だったとのことで、
愛用しておられた西村製の15cm反射望遠鏡は星野鏡です。
すでに30年前に、この口径15cmの望遠鏡で現在のToUcam+Registaxで撮ったようなすばらしいスケッチを残しておられます。

会社を定年退職して故郷に帰られてからは、吉備国際大学で法律学を教えておられました。
これからは近所の子どもたちに天文や英語を教えてやりたいとおっしゃっていました。

さて、最初鏡筒のみと聞いていたのですが、
お宅に行ってみると、玄関にフォーク型赤道儀に付けた11インチの大きな鏡筒がデーンと置いてありました。
最初購入を検討していた今岡先生は一目見るなり、「こりゃー、うちには置くところがないわー。」ということで
結局、宇宙少年団のリーダーもしている松本和久さんが譲り受けることになりました。
赤道儀を別に購入する覚悟でしたのでおおいに助かったと思います。

高杉さんが購入されたのは、会社の仕事で何年かアメリカにおられた時だそうです。
1991年のメキシコ日食にはアメリカから現地に直接入られたそうですから、その頃のものと思われます。
三脚と極軸を合わせるウェッジは、セレストロンのものより頑丈だったミードのものと組み合わせてあります。
足は一番短くした状態でちょうど良い高さです。
下側から三ツ星型の金具で三本の脚をがっちり押さえて固めるようになっているのが最初は分かりませんでした。

ウエッジを留める3本のインチネジが紛失していたので池田のネジ屋でステンレス製のものを取り寄せました。

極軸合わせは鏡筒をフォークアームと平行にしてファインダーの目盛りに北極星を入れて概略を合わせます。
そのあとは東の地平線近くの星と、南の赤道付近の星を視野に入れて、そのずれを見ながら補正していきます。
ドイツ型赤道儀のように、極軸望遠鏡で一発で合わせることはできません。

付属の方位磁針は所定の位置に置くとずれた方向を指します。
ウエッジはアルミダイキャストですが、鉄製のボルトが磁化しているのかも知れません。

赤道儀のモードは恒星時、太陽追尾に月追尾まであります。

もう一つ王冠印のモードがありました。
セレストロンのホームページで70ページに及ぶ英文の使用説明書をダウンロードして調べたところ、それはKingモードというもので、大気差補正モードでした。

天文家のKingさんにちなんで名づけられたそうです。

PEC(ピリオディック・エラー・コレクション)の学習機能が付いています。4分以上追尾して学習させればよいようです。
電源コードがなかったので作りました。

鏡筒は擦り傷がついていますが、光学系には全く影響はありません。付属の30ミリ接眼鏡100倍足らずで月面を見ましたが実に美しい!
フォークマウントなので接眼部がとても覗き易い位置に来ます。

宇宙少年団の子どもたちに見せるのに最適です。

恒星の内外像を見ると、わずかに光軸がずれているようです。きちんと調整してToUcamでシーングの良い時に木星や土星を撮れば、きっと凄い画像ができると思います。

デジカメで撮影した木星の初画像。2004年3月2日 松本和久
とりあえず何か画像を思い写してみました。デジカメを手持ちで写していますので、
お見苦しいかと思いますが、大目にみてやって下さい。
画像処理は回転を加えただけで、その他の処理はしていません。