オーストラリアの星空

 

アストロクラブふくやま 児玉英夫

 

2013年7月5日と6日にオーストラリアのジョージタウンで星の写真を撮ってきました。

この旅は三重県名張市の星仲間の遠藤さんと田中さんの企画で、航空券は半年前に、

ビジネスクラスをセールの時に往復12万円で入手していました。

(ビジネスクラスは2030キロ余分に荷物が持ち込める)。

2人はもう10回程行ったことがあり、私は、21年前のクーナバラブラン以来でした。

その時は極軸を合わせ間違えたことに最終日に気がつき、撮り直し始めたら雲が出てきました。

今回は2日とも快晴で、雪辱を果たせました。

 

オーストラリアへは、関西空港からジェットスターでケアンズへ飛びました。

夜間飛行で、赤道近くになると、右側の窓から逆さまに沈んでいくさそり座が見え、

高度1万メートルで見る天の川がみごとでした。

田中さんは、手持ち0.8秒で、立派な天の川の写真を撮りました。

 

使用カメラはCanon Kiss X2、赤外カットフィルター除去改造。

赤道儀はケンコースカイメモ。露出はいずれも4〜5分。

ISOは基本的に400で使用。二晩とも快晴で、露もほとんど降りませんでした。

 

00     ケアンズには夜明け前に着き、予約していたレンタカーで西を目指しました。

 

01     オーストラリアは日本と同じ左側通行です。

信号機はなく、交差点はロータリーです。普通の道路が原則制限時速100キロです。

02 内陸に入っても、結構雲があり、霧の発生するところもありましたが、アサートンまで来ると、

抜けるような青空になってきました。その先にはもうスーパーがないので、そこで、食料を買い込みました。

03     沿道には蟻塚が延々と点在していました。

 

04     ケアンズから411キロ走って、ジョージタウンのラタラ・リゾート・モーテルに昼過ぎに着きました。

予約なしで飛び込んだのですが、冬休みで週末でもあり、結構満員に近い状態でした。

05     夕食後極軸を合わせて、南十字星付近を35ミリレンズで撮りました。

星座の形が分かるよう、ケンコーのプロソフトンAを使用しています。F2.8 ISO400、露出は5分前後です。

左にケンタウルス座α、β星、右にイータ・カリーナ星雲があります。ケンタウルス座のα星までは4.3光年で、太陽系に最も近い恒星の一つですね。

06     イータカリーナ星雲は遠藤さんのボーグのフローライト264ミリF3.7を借りて撮りました。口径10センチの対空双眼鏡の30倍で見ると画面一杯に見えて壮観でした。

ハッブル宇宙望遠鏡による画像では、中心星がこぶ状に膨れて、爆発寸前の状態で均衡を保っている不気味な姿が見えます。

07     南十字の左側の星と、ケンタウルス座β星を底辺に縦長の二等辺三角形を描くとその頂点に全天で一番明るい球状星団、ω星団があります。

08     ω星団は、全天一明るい窮状星団で、いくら見ていても、見飽きません。ω星団を更に上にたどると、衝突銀河・ケンタウルス座Aがあります。

09   ケンタウルス座Aは猛烈な電波を出しており、星が爆発的に生まれているそうです。口をぽっかり開けた不気味な姿、いつかもっと長焦点で狙ってみたいと思います。

10     やがて夜も更けて、天の川の中心部が真上に昇ってきました。サムヤンの8ミリ対角魚眼(APSF3.5)レンズで、

夏の大三角(左下)からさそり座を経て、南十字星(右上)までを、一つの画面に収めました。

11     シグマの15ミリ対角魚眼レンズで撮った天の川3枚をフォトショップでモザイク合成するとこんなになりました。

右端にイータカリーナ、真ん中にさそり座です。このプリント、自宅と仕事場に飾って、毎日ながめています。

12     さそり座を24ミリレンズで撮りました。日本では低空で、街明かりが混じってしまいますが、オーストラリアでは天頂付近を通るのできれいな写真が撮れます。

13     さそり座の頭部です。左下の黄色いガスを照らしているのがアンタレス、左上から暗黒星雲も延びています。

14     アンタレス付近を264ミリで撮影しました。様々な色のガスが入り乱れています。こんな写真が5分程度の露出で簡単に写せます。

                                                                                                         

15     さそり座の尾部です。90ミリレンズ使用。

16     出目金星雲(猫の足星雲)264ミリレンズ使用。

17     メシエ8番から201716番と続く部分です。90ミリレンズ使用。2枚モザイク。

18     メシエ8番の干潟星雲とその上の20番の三裂星雲と青い星雲です。

19     下がメシエ17番。白鳥が逆さになったみたいです。上がメシエ16番。

20     24ミリレンズで夏の大三角を撮りました。

21     いるか座。90ミリレンズ使用。

22     冠座。90ミリレンズ使用。

23     白鳥座。35ミリレンズ使用。

24     白鳥座のデネブとγ星付近の星雲。90ミリレンズ使用。

25     北アメリカ星雲とその右はペリカン星雲です。

26     白鳥座の翼のところにある、網状星雲。超新星爆発の残骸です。

27     S字状暗黒星雲。264ミリレンズ使用。中学生の時図書館で見たパロマー天体写真集にあって、憧れたものでした。

25千光年かなたの銀河中心部の星を650光年程度の手前の暗黒物質が隠しています。

28     とうとう夜明けが近づいてきて、天の川が西の地平線に沈みかけました。右に夏の大三角、左に逆さまになって沈むさそり座が見えます。

地平線近くでもすばらしい透明度の空でした。

29     大小マゼラン雲も昇ってきました。左上はアケルナルです。35ミリレンズ使用。2枚モザイク。

30     小マゼラン雲を90ミリレンズで撮影。

31     小マゼラン雲と球状星団(全天で2番目の明るさ)264ミリ使用。2枚モザイク。

32     大マゼラン雲。90ミリレンズで撮影。

33     明るいのはタランチェラ星雲。1987年に超新星爆発があり、その時飛んできたニュートリノをカミオカンデンで検出した小柴さんはノーベル賞を受賞しました。300ミリレンズ使用。

34     大マゼラン雲と昇ってきたカノープス。

35     白鳥座はオーストラリアでは低空を這って沈んでいきます。低空でもカラフルに写ります。木々の間から漏れる星の光もきれいです。

36     逆さになって昇ってくるオリオン座。日本では三ツ星が縦に一直線になるのですが。

37     6日朝の月齢27.1の月。地球照が美しい。

38     7日朝の月齢28.1の月。

39     6日夕方の黄道光。(横位置)

40     6日夕方の黄道光。(縦位置)下の明るい星は金星。

41     ジョージタイウンは南緯17度。赤道に近いので、夜明け前の黄道光も見えました。

42     6日の夕方に撮った、沈みかけたガム星雲。Hαフィルター使用。対角15ミリ    F2.8レンズ使用。ISO1600で撮影。良い条件の季節に行って撮り直したい。