オーストラリア・セデュナ皆既日食ツアー始末記

出宮美克
「天文ガイドのツアーでは、小川さんたちと同じ海岸にも撮影場所が確保してあったのですが、
強風で波しぶきを浴びながらの撮影になるので、車で10キロ程離れたところにある丘の上で撮影しました。

しかしここも風が強く、1、2秒露出をかけてコロナを撮影できる状況ではありませんでした。
雲も多く、なんと、皆既2分前に太陽は雲に隠れてしまいました!

30秒の皆既の最後の5秒ほどがビデオに写っているのみです。
ツァーの中で2名が海岸で撮影に成功。ビニールで機材をくるんで撮影したそうです。
 

皆既日食の動画ファイル
ご覧になる環境で下の3っつから選んでご覧下さい。


皆既日食の動画ファイル (1,932KB)

同じですが少し画質が良い(9,056KB)

高画質MPEG-2画像(13,386KB)
再生プレーヤーが対応していないと、見る事が出来ません


11月30日 20時30分成田空港よりシドニーへ。

12月1日
朝シドニーへ着き市内観光。250m高さのシドニータワーの展望台より市内を望む。夕方シドニー発アデレードへ着きホテルへ。


12月2日
昼、大型バスに15人程乗ってキンバ(465q先)へ。
夕方キンバ着、夜はホテルから30q離れたオーバルにて天文ガイド星空鑑賞会を行う。芝生のグランドで15o魚眼レンズを構えたがアフリカの空と全く様子が違い極望が定まらない。南十字は星が一個しか出ていないし南極の位置が全く不明。それに妙な握りこぶし大の白い雲が二つ出ていてじゃまをしているし、あの雲逃げないかなあと思いつつ模索していると何とそれが大小マゼラン星雲だった。無光害の空の凄さを思い知らされた事であった。南十字が全容を表してみるとアフリカとは逆向きで天文ガイドのインストラクター中西さんに極軸を合わせて貰い数枚撮りましたが、ホテルに帰ってよく見るとなんとスカイメモRが北天のままになっていてガックリ。それでも無光害の南天の鑑賞にはなりました。

12月3日
キンバ発、310q走ってセデュナに到着。明日の観測地の下見に向かう。一つはテント村から400m位の海岸にテープで縄張りがしてあり、我々の用地は確保してあった。然し海からの風が凄く機材が塩漬けになりそうで皆尻込みしてしまった。次の候補地は小高い丘で10q位離れた所であった。然しそこは海は遠くて地平線に太陽が沈む場所であったが天文ガイドが推奨する場所でもあり、機材を持たない二人を除いて皆で此所に決めた。これが運命の別れ道となった。
一旦テントに帰り夜になってセデュナでの星空観望会に向かう。そこは海岸の広場であったが先客が撮影中にバスで乗り込んだ。なんだか落ち着いて撮影する雰囲気ではなかったが、機材を展開し終わった頃になって雲が拡がり始め遂に絶望的となった。それでも双眼鏡で暗黒の空はしっかりと鑑賞した。

12月4日 昼は割と雲が多かったが観測地に着き強風の中機材を展開した。第1接触から太陽は雲の合間を縫い殆ど見えていたし、第二接触が近づくにつれて雲量が少なくなり皆安心していた。所が第2接触2分前になり黒い雲の中に突入、第3接触7〜8秒前にやっと姿を現したが私のすべての計画は狂いっぱなしであった。それでもビデオには第3接触の状態は写っていました。

12月5日 セデュナ発、専用車でアデレードのホテルへ。

12月6日 アデレードから空路アリススプリングス乗り替えでエアーズロックのセールズ・インザ・デザート・ホテルへ。その日の内にマウントオルガの散策、次いでエアーズロックのサンセットを見る。

12月7日 エアーズロック、サンライズ登山。
      夜は夜空鑑賞バスでエアーズロックの見える丘へ行った。此所が南天撮影の最後のチャンスとばかり勇んで出かけたが、真っ暗の山路を機材を運ぶのが一苦労でした。それに此の辺には有名な毒蛇が多いと散々に脅されていました。更に悪い事には丘の下に大きい道路があり、シャトルバスが一定時間毎に通り、とても落ち着いて全天を撮る雰囲気ではありませんでした。それでも何とか5〜7分位の露出は出来ました。とても15分の予定は無理でした。

12月8日 エアーズロック発、シドニー乗り継ぎで成田へ。

12月9日 成田付近へ5時頃到着したが、関東は大雪で6時迄着陸不能との事で、悪い気流の中を1時間余り旋回して気分が悪くなりました。6時着陸してみると成田線は乱れにみだれ、エキスプレスは払い戻しになり、やっとの事で予定の「のぞみ」に間に合いました。
南天の全天写真。

画面下端にはエアーズロックがあるが、真っ暗で殆ど見えない。画面下の真中にマゼラン雲、その右下に小マゼラン雲。大マゼラン雲左上の天の川の中に赤く巨大なガム星雲。画面中央上、天の川の右側にオリオン座。画面上端の薄暗い影は多分自画像。上の地平線付近には雲がある。(天の川の色を無理矢理画像処理で銀色に
しましたが、1月の例会にはガム星雲やバーナードループがもっとはっきり見える

なぜか、銀河が赤く写ってしまいました。

キャノン対角魚眼レンズ15o、F2.8開放。
星の家67カメラ。
エクタクロームE200(2倍増感)。
ケンコー・スカイメモR赤道儀。
露出5〜7分。

エアーズロックでは少し街明かりがありました。
もう一箇所は本当に真っ暗だったのですが、近くに事務所の灯火があって邪魔になりました。